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2007/07/08//Sun.
【変態】 *藤本ひとみ

奈子は、頬が熱くなっていくのを感じた。胸の底から凶暴な炎がほとばしり出て、体中を焼きこがす。追求し、追いつめ、えぐり出し、握りつぶしてしまいたかった。

「女には満足できなくても、首輪には満足するのね。そういうのを、世間では何て言うか知っていて。変態、よ。」



今泉は口を開け、大きくあえぎながら横たわった。
「もう一つ、つめてほしい」
 
 奈子は、今泉をまたぎ、胸の上に腰を下ろした。細かな赤い花を散らした白絹の巻きスカートが、大腿の上までまくれ上がった。奈子はいったん首輪をゆるめてから、一気に引きしぼって奥の穴で留める。今泉は、飛び出しそうに目を見開いた。奈子は、自分の内の火に揺さぶられ、大声をあげた。

「あと二日で、あなたの愛の写真がパリの雑誌の表紙を飾るわ。あなたは、もう終わりよ。一人で破滅するがいい」
 今泉は、身体を痙攣させながら細い叫び声をあげた。奈子は、自分の背中が濡れるのを感じた。快楽が煙のようにあたりに漂った。

奈子は、肩で息をしながら今泉を見下ろした。溺れる彼をみるのは、それが初めてだった。今までの彼におよそふさわしくない、みじめで脆弱なその姿に、奈子は昔みた父の姿態を重ねた。そのときの母の言葉も思い出した。

「まあなんてみっともない。なんてけがらわしい格好でしょう。生きる値打ちのない人間なのよ」

 奈子は、とっさに首を横にふった。ふりながら気がついた。自分はずっと、こういう彼を見たかったのだということに。学者として評価され、尊敬されている冷静な彼が、取り乱していくところを見たかった。辛辣な彼でさえ我を忘れていくのだと知りたかった。

塗り替えたかったのだ。どんな人間でも、時には醜くけがらわしく、それでも生きていていたいのだと納得したかった。奈子はつぶやいた。
「わかったわ」

 その瞬間に、それまで奈子を包み込んで離さなかった母の憎悪が、音をたてて倒壊した。奈子は自分の体が緊張していくのを感じた。背筋にそって震えがのぼってきて、喉につまる。奈子は、もがくように口を開け、息をついた。もれたのは、あえぎだった。熱情が胸にたまる。どこにそそいでいいのかわからない。

奈子は震え始め、身もだえした。緊張はこの上なく高まっていく。奈子は体を立てていられなくなり、今泉の上にくずおれた。今泉の腕が伸びて、胸の中にしっかりと奈子を抱きしめる。奈子は、しがみついた。

瞬間、奥深い所から少しずつのぼっていた歓喜が、突然膨れ上がって奈子を呑みこんだ。奈子は驚きながらその中に沈む。とろかされ、漂い、浮き上がり、また深くもぐりながら、長い時間をその中ですごして奈子は、自分自身に戻ってきた。



久しぶりに図書館にあるエロティックな本の紹介です。
というか、このカテすっかり忘れ去っておりました。(汗

藤本ひとみさんと言うと、鑑定医シャルルシリーズとか、女性のファンが多いと思います。
○○さんとか△△さんとか、オキニかも。

射精があったとか、痙攣したとか、外見的に顕著な反応は共感を得られやすいと思うのですが、男性でも射精を伴わないイッタ感覚とか、女性でも精神的な満足感はあまりとりあげられることがないように思われます。

極めて個人的で感覚的なものだからでしょうか。



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